【映画】ヒメアノ~ル【感想】

【あらすじ】

「なにも起こらない日々」に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田(濱田岳)。同僚の安藤(ムロツヨシ)が想いを寄せるユカ(佐津川愛美)が働くカフェに向かうと、そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛)と出会うが、その後ユカから森田にストーキングされていると知らされる…。

 

【感想】

結論から言うと私はこの映画を好きになれなかったのだけど
その理由の9割は原作との違いに納得できなかったという
厄介オタク極まりないものなのでそれを理解した上で続きをお読みください。

 

ちなみに私は原作コミック大好きですが、原作を絶対に変えるなと言いたい訳ではないです。
むしろ原作のラストシーンはもっといい落し所があったのではないかと
ずっと思っていたので、映画版でそれが見れるのではないかと期待していました。
原作のテーマは、生まれつき異常者として生を受けた森田の圧倒的な孤独と苦悩だと思っています。
いじめがきっかけで殺人を犯すところは同じですが、原作版の森田は例えいじめが無かったとしてもいずれその衝動を抑えられなかったでしょう。先天性であるが故に誰のせいにも出来ず、治すことも期待出来ず森田は絶望の底に落ちていきます。
映画版ではその前提そのものが変わっているのです。
細かい違いなどはどうでも良いのですが、この点だけは許容できませんでした。
映画版の森田は元々は普通の優しい少年でした。
いじめ事件により精神分裂を起こし殺人を犯すようになりますが、これでは全く意味が変わってきます。
あまつさえラストには主人公と心が通じ優しかった昔の人格を取り戻します。
エンディングで静かで美しい曲が流れますが、そんなんで同情も感動もできるはずもなく唯々空しく響きます。